鳥公園WS 2020

蜂巣もも【演劇を肥す、耕す/演出家の身体と心を、戯曲の延長線上に置くために】

​2020年8月8日(土)〜8月14日(金)

 問い

 

 私が戯曲選定を行うとき、戯曲を読んで身体が引っ張られるように感じるものを上演したいと思う。

 「身体が引っ張られるように感じる」とは、物語の問題意識や人物の背景が、劇構造と有機的に絡み合っているものである。物語の機微に惹かれるのではなく、場のコンセプトが明示されていると身体ごと引っ張られ、上演したい、しなければと思う。

 一人で戯曲を読み、魅力的に思えた場のコンセプトを大事にしたいと思うのだが、その後複数人が関わる稽古場では、必要とされる論理や物事が異なるため、読後感の角度を変えて捉えることが必要になる。読後感と、稽古場での実践の乖離を整理、調停することが常に課題となるが、それに苦戦した戯曲と、スムーズに取り組めた戯曲がある。

 たとえば2019年11月に上演した『まさに世界の終わり』では稽古場での立ち上げにとても苦戦した。

長いモノローグが基調となった戯曲だが、それを読み、閉塞感ある田舎の風景と時間、また非常な緊張感を感じた。

それを稽古場へ持ち込んだが、この風景や緊張感を立ち上げるためには、長いモノローグを常にダイアローグとして解釈(相手が何も話さず、一人で話し続けなければならない孤独な対話)する必要があったが、この解釈を得るまでに時間がかかった。

このような演劇としての構造解釈と合わせて、フランス語特有の言い回しを日本語の感覚とすり合わせる必要もあった。自分たちの生活リズムや行為、習慣を活用し、日常の倍速の感覚でダイアローグを成立させる。最終的に、読後感の緊張感は、行為の速度と量によって立体化するという方法に辿り着いた。

 前述の「身体が引っ張られるように感じる」ことは俳優が舞台に立つ感覚に近しいものであるはずだ。しかし、稽古を始める時点で構造解釈や方法が深まりきっていない場合、演出家個人の読後感にこだわり過ぎると、演出家と稽古場の俳優が対立項になりやすい。どうすれば読後感を手放さずに、戯曲ー演出ー俳優という三者の体系を対立的な関係ではなく協働的なものとして機能させられるだろうか。協働的な関係の中で実践の為の筋と手段を発掘することは、世界の理をより複合的に考える一つの手段になり得るのではないだろうか。

 「身体が引っ張られるように感じ」ながらも、これまでの稽古場では自分の身体を扱ってこなかった。自分の身体が戯曲にどう反応するのか。全くの未知だが試みたい。今まで迫る本番のためにどうにか解決させて上演を行った過去作品を、再度解釈を深め、今後稽古場の言葉へと接続させたい。そのための黙々とした繰り返しの場所である。

​蜂巣もも  

 ​開催概要 

▶︎目的

読後感を捨てずに、演劇を構築する思考を育む。自分の身体を使って確認する。

▶︎内容

 過去戯曲の中で、読んだ感覚と現場の感覚が特に乖離し、苦戦したものを選ぶ。

(この6月に公演中止となった『自由の国のイフィゲーニエ』、また『おねしょ沼の終わらない温かさについて』は中途半端に終わったため、乖離の把握までは出来ていないが今後のことを考えて採用する。)

 

下記の上演作を読み返し、その戯曲のどこに惹かれていたのか印象を言語化する。

例えば「この戯曲は中心的人物が地に根を張り、皆を自分に従わせるが、非常に頑なで、まるで石のようであること」など抽象的でもいい。

また戯曲全体のシーン構成なども洗い出して、速度感や明暗、重さ軽さのようなものも印象の言語化に取り入れる。

出演していた俳優の幾人かに協力を依頼し、制作時の感触(葛藤したこと、自身と演出の意見の相違があったかなど)を聞きながら現場での作業も思い出す。

 

それらを踏まえキーになると思われる箇所を抜き出す。

該当箇所のセリフを覚え、読後感を身体化させるためには何が必要か実践を行う。

 

扱う作品

『授業』(作:ウジェーヌ・イヨネスコ)

『水』(作:カゲヤマ気象台)

『木に花咲く』(作:別役実)

『インクルージョン』(作:山内晶)

『冒した者』(作:三好十郎)

『まさに世界の終わり』(作:ジャン=リュック・ラガルス)

『自由の国のイフィゲーニエ』(作:フォルカー・ブラウン)

『おねしょ沼の終わらない温かさについて』(作:西尾佳織)

 

 ※もしかするとやるかもしれない戯曲(現場感覚が乖離せず実行できたもの)

 『不眠普及』(作:綾門優季)

 『愛するとき死ぬとき』よりA青春/合唱(作:フリッツ・カーター)

  →上演で扱わなかったB章、C章を取り上げる可能性あり

 『ハッピーな日々』(作:サミュエル・ベケット)

 『おはようクラブ』(作:カゲヤマ気象台)

  →こちらは企画構成上、私も現場で何度もトライさせてもらったため

▶︎一般募集

なし

鳥公園メンバーの西尾、和田、三浦の三名には事前に戯曲と読後感を記載した紹介文を渡し、試みを把握してもらった上で、オンライン上で毎日一時間ずつ見てもらう。

閉鎖的になりやすいので、蜂巣が想定していない方法や視点をもらいたい。

▶︎日時

2020年8月8日(土)〜8月14日(金)

4時間×7日間、上記の戯曲は全て実行できないかもしれないが出来るところまで行う。
 

▶︎場所

都内稽古場


◆ お問い合わせ

info.birdpark(a)gmail.com  

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