#10「空白の色はなにいろか?」
2015年1月8日(木)~11日(日)@京都芸術センター フリースペース(京都)
2015年1月16日(金)~25日(日)@STスポット(横浜)
光が射し込んで、明るい部屋が燃えます。拍手と笑顔の誕生日が灰になる。
祖先になるために生きるというマダガスカルの民族に会いたくて、決死の覚悟で部屋を出た。
もちろんまた帰るつもりでした。
帰ったらもう一生、温かい部屋で穏やかに過ごすつもりでいました。
しかし帰ると、部屋がない。
モノも家族も何もなく、ただ空白が広がって、親切な人が教えてくれた。
「あなたの部屋は蒸発したよ」
・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・
五月からつくり続けてきた「空白の色はなにいろか?」最終公演。
最近はすっかり「自然」に飽いてしまって、人の身体の使い方、声の出し方、喋り方、それらをいかに工作して遠くへ行けるかばかり考えています。
私たちが「自然」だと思っているもの、「人間」だと思っているものの、拡張、凝縮、増幅、さまざまな変形を探します。
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作・演出:西尾佳織
出演:浅井浩介(わっしょいハウス)、武井翔子、西山真来
舞台監督:本郷剛史/舞台美術:中村友美/照明:中山奈美/衣裳:藤谷香子(FAIFAI)/記録写真:中才知弥(Studio Cheer)※京都公演、塚田史子※横浜公演/宣伝美術:鈴木哲生/制作:萩谷早枝子/制作協力:若旦那家康※京都公演
協力:わっしょいハウス、レトル、はえぎわ、舞台美術研究工房 六尺堂、FAIFAI
助成:公益財団法人 アサヒグループ芸術文化財団
共催:京都芸術文化センター(京都公演)
提携:STスポット(横浜公演)
主催・製作:鳥公園
#10への工程 ショーイング
「空白の色はなにいろか?」
2014年8月15日(金)~17日(日)@クリエイティブセンター大阪
その石の彫刻は、とても気持ちが悪かった。
<エナジー・ヴォイド>と名付けられた、鈍く光る黒い輪は、
かっこいいんじゃないか、いや、美しいのかな、という事前の期待を裏切って、邪悪だった。
「周りに、強いエネルギーが物質としてあって、
ドーナツみたいに、円環にエネルギーが流れていて、
でもそれより重要なのは、流れるエネルギーの中心に空いた空白の穴の部分なんだ」
と、何度も、なぜ<エナジー・ヴォイド>を見たいのかを話して、
高松は牟礼のイサム・ノグチ庭園美術館まで行った。
けれど実際に作品を前にして、「穴を見る」ということは起こらず、
物質ばかり見ていた。
ぬめぬめと蠢く動物の腸のようだった。
物質しか見ていないのに同時に、底なしの暗い穴のような、空虚な業を感じた。
それは視覚ではなく、背後から、二の腕から、浸透してくるような第六感だった。
さみしさに染み込まれそうになって、やばいと思って人と話した。
<エナジー・ヴォイド>にイサムが手を付いて、笑っている写真がある。
見るとギョッとして心を摑まれる。
イサムが子供みたいに笑っている。
この人の空虚を吸い込んで、ヴォイドは満ち満ちになって呼吸している。
ヴォイドが生まれてイサムはよかった。
だけど生み出されたヴォイドは、どうしたらいいのか。
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作・演出:西尾佳織
出演:浅井浩介(わっしょいハウス)、武井翔子、西山真来
舞台監督:さかいまお/舞台美術:中村友美/照明:石田光羽 /宣伝美術:鈴木哲生/演出助手:福島真/制作協力:若旦那家康 /制作:萩谷早枝子/OTHER MEMBER:森すみれ
協力:わっしょいハウス 舞台美術研究工房 六尺堂 ART COMPLEX
助成:おおさか創造千島財団
主催・製作:鳥公園
劇評
SYNODOS「なにものかへの別れのあいさつ」(水牛健太郎氏)