鳥公園#14「すがれる」2012/2017 インタビュー02
〈出演〉武井翔子×山崎皓司×八木光太郎 

聞き手:長谷川皓大(演出助手)

2017年6月 森下スタジオにて

2012年の「すがれる」にも出演した、鳥公園所属の武井翔子。

鳥公園への参加が3回目となる山崎皓司。

そして鳥公園への初参加となる八木光太郎。

 

3人それぞれの視点から、#14「すがれる」2012/2017の作品制作について聞きました。 

 

鳥公園の作品に出演すること 

 

―― 今、どのようなことを考えながら、「すがれる」に取り組まれていますか。

 

山崎 俺、所属している劇団(快快 FAIFAI)以外の公演に、こんなに何度も出演したことないかも! 3回目? よく考えるとこんなことは初めてです。自分が劇団に所属してると、他の劇団から出演オファーを受けることがあまりないんですよね。それは単純に俺の俳優としての立ち位置の問題なのかもしれないけど……、「扱いづらい」とか(笑) 劇場のプロデュース公演に参加することはあっても、同じ劇団の主催公演に何度も参加したことはあまりないんですよね。それは、劇団それぞれのスタイルがあるからだと思っています。方々から俳優を集めるプロデュース公演だと、俳優のスタイルがみんな対等ってなりそうじゃないですか。プロデュース公演でも演出家がいて、演出家の趣味を示す俳優はいるかもしれないけど、パワーバランス的にはそっち側に行かないような座組になるじゃない。それを考えると、劇団にオファーされることってことはあまりなかったなあって。そういう意味で「ああ、鳥公園に出演するのが3回目かあ」って気持ちです。その上で、自分が鳥公園に興味あるからここに来るんですけどね。感覚でやってきた演技ではなくて、方法論っていうのか、演技に対して考え方を言葉にしてちゃんと言えるところでここに興味をもてるから、3回目も来てるんですけどね。難しいよね。

​写真左から 八木・山崎・武井 森下スタジオにて

武井 3回の中で、やり易さとか、何か変わりましたか。

山崎 作品と稽古で使われている言葉自体はわかるようになったし、いちいち「え、今のは出来てた?出来てなかった?」と確認しなくてもわかるようにはなりました。

 

武井 八木さんは今回、初参加ですがどうですか。

八木 稽古中、雑談が多いじゃないですか。そこに出てくる固有名詞とか、自分、ほぼ知らなくて。

山崎 雑談は雑談でも、関係ない話はあんまりしないよね。全部、作品に関係ある話。

 

武井 皓司さん、関係ない話をしてくれるよね。「全然関係ない話していいすか?」って。

 

一同 (笑)

八木 稽古での雑談の中で、自分が知ってた固有名詞が「内田春菊」と「大江健三郎」くらいで「あー、すげえな」って。個人的にはこういう稽古場って、結構好きなんですよ。さっきの稽古でも構成がすごい変わったし、その方が燃えるというか「へー、面白い!」と思う。

 

山崎 え、何が変わったっけ?

 

武井 変わったじゃん! ていうか日々変わってるじゃん!

 

山崎 あ、そういうことか。方針とか、構成とかね。

 

八木 追いついて行くのが大変ですけど、でも、楽しいです。

 

 

―― 武井さんは今回の稽古について、いかがですか。

 

武井 プライベートな話なんですけど、今回の稽古中、いろいろ、鳥公園のおじいちゃんたちが亡くなりました。そのことは普段の稽古とか生活の中で、どちらかというとイレギュラーなことだから、その時間は、ぽーんと、創作のことは置いておく時間になるんですね。だから、関係ないけどなんとなく今回の稽古があっという間だなって思います。「え、もうこんな?」みたいな。だから稽古期間は濃密な時間を過ごしていきたいと思っています。

それぞれの”老い”

―― 今回の「すがれる」という作品は、”老い”がテーマとなっている作品ですが、その”老い”ということについて、皆さんの考えていること、感じていることを教えてください。​

山崎・八木 うーん……

 

武井 「すがれる」は5年前の作品とリクリエイション版を並べて上演するって企画じゃん。2人は自分の5年前と比べて今の自分、どう?

 

山崎 5年前っていうと……

 

八木 (山崎さんの方をみて)「FAIFAI 快快」解散……?

 

山崎 うん、それぐらいだね……、いや、解散してねえよ(笑)  でも、老いではないけど「独りでどうにかしないと」って思うようになりましたね。みんなそういう風に思うようになるものなのかもしれないけれど「人は独りだな」って思うようになりました。「子曰く、」みたいなのあるじゃん。その後出てこないんですが……。三十にして立つんでしたっけ。迷わず……?

 

武井 「四十にして、立って惑わず、」じゃない?(※正しくは「三十にして立つ、四十にして惑わず、」)

 

山崎 四十にして惑わず、か。まあでも、惑わずの方向へ向かってるんだと思う。

 

武井 良かったじゃん。

 

山崎 うん(笑) 身体的なことを言えば、やっぱり、そりゃ衰えてるよねとは思う。”老い”ね……

 

武井 八木くんはどうですか。私とタメだよね。

 

八木 うん、武井さんとタメ。稽古場では話しましたが、やっぱり確実に自分に老いが表れていて。単純にご飯の量が食えなくなった。不思議なんだよなあ。それを若干まだ受け入れられなくて。

 

武井 もっと食べたいのに……って?

 

八木 そう。だから頼んじゃうの。

 

武井 で、残しちゃうの?

 

八木 そう……、いや残さない。残さないけど、すげー気持ち悪くなって、キャベジンとか買うんです。キャベジンとか初めて買ったのは、ここ1、2年でじゃないかな? 胃もたれも、最近ですね。

 

山崎 夜食うと寝起きが悪いですよね。あと単純にみんなで健康の話するようになった。サプリのこととか、そういう話が本当に普通になった。

 

八木 お酒とか……

 

武井 お酒、飲んでますね。量は変わらないけど抜けなくなった。でもこれ前のインタビューでも言ってるから(笑)

 

山崎 俺も一番はシワだ。シワ。シワが消えないですね。

 

武井 シワ、酒が抜けなくなった、食えなくなった。でいいんじゃない。

 

八木 でも個人的には、伊藤キムさんの「GERO」のメンバーになってダンスの稽古をするようになったけど、割とまだ伸びる。30歳だけど。

 

武井 そういうものは伸びるだろうね。

 

山崎 昔、小学校の体育の先生が「筋肉つくるなら30からが本気だ」って言ってた。プロレスラーとか成熟してるじゃん。

 

武井 オペラ歌手も、30歳くらいでやっと身体も声帯もできるから、そこから。20代でデビューなんてほとんどないとか言いますよね。50歳くらいがピークなんじゃないのかな。能とか、もっと先じゃない? そういう意味ではまだまだこれから。X JAPANのYOSHIKIとか見てると無茶は出来ないなと思いますが。無茶したい美学、破滅の美学もわかるんですけど。

 

山崎 俺もそうだったんだけどなあ。

 

武井 破滅の美学? 嘘だあ(笑) ボクシングとかやってた頃ですか?

 

山崎 まあ、前は。

 

武井 でも破滅の美学は、私も捨てきれないですね。好き。

​写真左から 八木・山崎・武井 森下スタジオにて

 

―― 山崎さんが破滅の美学をもたなくなったことには、何かきっかけがあったのですか。

 

山崎 うーん……。何でもかんでも壊すのが良いのではないってことがわかった。

 

武井 そんな壊しまくってたんですか(笑) なにを壊してたの?

 

山崎 壊してたというか、作品づくりの途中で嫌になると、全部覆そうとしちゃってたりしてました。

 

武井 どうやって? 暴れたり?

 

山崎 そうそうそう。暴れるというか、「これ、こうしちゃったら?」って、全然関係ないものをもってきて、積み上げたものをひゅってしちゃおうとする、みたいな。

 

武井 それ、破滅の美学とはまた違うけどね。

 

山崎 まあ、破天荒でありたかったっていう。

 

―― お話を伺っていて、皆さん年齢が近く、今回のクリエイションは同世代の3人で”老い”について考えるということにポイントあるのかなと思いました。

 

山崎 昨日あるオーディションで、知らない人たちばかりの中に久々に会った人がいて「どうよ最近」みたいに言ったら、しょっぱいこと言いってて「だよね」ってなった。昨日は俺もメンタルが弱っていたから、そこに乗っかりましたけど。

 

一同 (笑)

 

武井 乗ってんじゃねえよ(笑)

 

山崎 でも俺はちゃんと「しょぼくれた役者にはなりたくないのでここに来ました。」って言ったよ。

 

武井 本当にキレッキレなやつは、「しょぼくれた役者にはなりたくないので」とか言わないから!(笑)

 

山崎 でも、そういう空気出てくるんだよね。嫌だね。

 

武井 でも無理して破天荒にやるんだ! ってのもダサいじゃん。ありのままでしょぼくれちゃう奴はもう、そうなんだよ。

 

山崎 まあだから「しょぼくれ出す」ってことなんだと思う。30代(笑)

武井 でも成熟もしてくるはずじゃん。あらゆることでバランスが取れてくるはず。普通はサラリーマンとかも、体力と気力、知力のバランスが取れてくると、パフォーマンスが向上すると聞くし。

 

八木 30代って微妙っちゃ微妙じゃない?

 

武井 本当にバランスが取れて良い仕事する人って、30代、40代じゃない?

 

山崎 やっぱり、気持ちが甘いんじゃないっすかね。気づいちゃうんですよ。俺はスペシャルじゃなかったって。

 

一同 (笑)

「今の私たちにしか作れない作品をつくれたら」

 

山崎 20代の頃に、30歳を超えたら、自分自身が技術をもつことも、お金をもらうことも必要だってことがわかってきました。やっぱり、しょぼくれるよ。この前、武井さんにふと「皓司さんって、成熟とか興味ないんですか?」って言われて。そうなんですよね、成熟したいんですよね。「いつまでも元気元気!」みたいなのは、イタくなってくるからって話をしました。まあ、そのつもりでいきますけど。

 

武井 まあ元気は大事だよね。

 

八木 同年代で、”老い”について扱ってて、っていうのは……

 

武井 私達、ちょうど若くもないし、でも年寄りでもないじゃん。そういう意味では微妙な時期かもしれないけど……、(ボイスレコーダーに向かって)だから、今の私たちにしか作れない作品をつくれたらな、と思っています!

 

一同 (笑)

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